「辞めたい」と思ったとき、開業医がまず考えるべき5つの視点~開業したらやめられない?~
「もう辞めたい…」
長年診療と経営の両輪を回してきた開業医の先生が、ふとそう感じてしまう瞬間は珍しくありません。
患者対応、スタッフマネジメント、資金繰り、制度対応……。理想と現実のギャップに悩み、心が折れそうになることもあるでしょう。
今回は、「クリニックを辞めたい」と感じたときに、経営者として一度立ち止まり考えてほしい5つの視点をお届けします。
1. 「なぜ辞めたいのか?」を言語化してみる
辞めたくなる理由は様々ですが、まず大切なのは感情と向き合うことです。
- 単純に疲れているだけかもしれない
- 人間関係のストレスが限界に近いのかもしれない
- 経営がうまくいかず、不安が膨らんでいるのかもしれない
モヤモヤとした気持ちをノートに書き出すだけでも、自分の中で整理が進みます。「何が嫌なのか」を明確にすることが、次の一手のヒントになります。
2. 経営状況を客観的に「見える化」する
「辞めたい」気持ちが出てきたときは、数字で現実を確認するタイミングでもあります。
- 売上と経費のバランスはどうか?
- 患者数・単価・診療報酬の推移は?
- 借入の返済計画やキャッシュフローの状況は?
経営が厳しいと感じていても、数値で見ると「改善の余地あり」と気づくことも。逆に、将来の撤退準備を早めにすべきという判断につながるケースもあります。
3. 一人で抱え込まず、専門家や同業者に相談する
開業医の悩みは、周囲に相談しづらいという特徴があります。しかし、孤独な決断ほどリスクが大きいもの。
- 税理士・社労士・経営コンサルタントなどの専門家
- 地域の医師会や同業者のネットワーク
- M&Aや事業承継の専門支援窓口(例:都道府県の医療連携室)
第三者の視点を取り入れることで、思わぬ打開策が見つかることも少なくありません。
4. 「辞める」以外の選択肢も視野に入れる
辞めたい=閉院とは限りません。例えば、以下のような「経営から距離を取る方法」もあります。
- 勤務医を雇って自分は管理業務中心にする
- 分院長を立てて運営を任せる
- 法人化して自分はオーナーに徹する
- M&Aでの売却・事業譲渡を検討する
選択肢を知っているだけで、心の余裕が生まれます。
5. 「辞めた後」の人生も設計してみる
辞めるか悩んでいるときは、「辞めた後の人生」を想像してみるのも有効です。
- 他院の非常勤勤務でペースダウン
- 地域医療支援や教育に携わるセカンドキャリア
- クリニック売却後の資産運用や事業投資
- 自分の時間を取り戻し、家族との時間を優先
**「辞めること=終わり」ではなく、「次のステージへの移行」**と考えることで、気持ちが軽くなるかもしれません。
6.「体調不良など」で診療の継続が困難な場合
上記の1~5は、何とかできそうな「気力・体力」がまだ残っている場合の対策です。どうしてもご本人の体調不良などで身動きが取れなくなってしまう場合もあります。
そのような場合に備えて、法人の体制を整備することが重要です。「一人開業の先生が考えるべきこと」は「ご自身が動けなくなったとき」にどうするかということです。
万が一、どうすることもできない場合は、すぐにコンサルタントに相談することをおススメします。
また、協力してくれる先生を探すことも大切です。
日ごろから関係作りなどが必要です。
一定期間オーナーシップをシェアすることも対策の一つです。
「何か手はあるバズ」ですので、あきらめ舐めないでほしいというのが願いです。
【まとめ】「辞めたい」は、変化のサインかもしれない
開業医として日々奮闘してきたあなただからこそ、「辞めたい」と感じることにも意味があります。
それは、今の経営に限界を感じているサインでもあり、より良い働き方・生き方にシフトするチャンスでもあるのです。
大切なのは、「辞めたい」という気持ちにフタをせず、冷静に分析し、最善の選択肢を探ること。必要ならば、信頼できる専門家と一緒に出口戦略を描いていきましょう。
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