個人診療所の相続手続
個人診療所の場合の相続では、後継者が決まっていてもすぐに診療所を引き継ぐことはできません。開設の許認可を医師個人が行っているため、相続が発生した場合には一度個人で開設している診療所を廃業することが必要です。
1. 診療所の現状把握
- 診療所の資産や負債を確認します。具体的には、土地や建物、医療機器、薬品在庫、診療報酬請求権、負債などです。
- 診療所の経営状況を把握し、財務状況や収益状況を確認します。
2. 遺言書の確認
- 被相続人が遺言書を作成している場合、その内容に従います。
- 遺言書がない場合、法定相続に基づいて手続きを進めます。
3. 相続人の確定
- 相続人を確定し、相続割合を決定します。
- 相続人全員の同意が必要となるため、意見の調整が必要です。
4. 相続税の申告と納税
- 診療所の評価額を算出し、相続税の申告・納税を行います。相続税は、被相続人の死亡から10ヶ月以内に申告・納税が必要です。
5. 診療所の承継手続き
- 診療所の開設者変更届を管轄の保健所に提出します。
- 開設者が変更されるため、診療所の許可や届出の再取得が必要です。
- 診療報酬請求権の承継手続きも行います。
6. 金融機関の手続き
- 診療所の預金口座や借入金の名義変更手続きを行います。
7. 不動産の名義変更
- 診療所の土地や建物の名義変更手続きを行います。これには、法務局への登記申請が必要です。
8. その他の手続き
- 診療所の契約関係(リース契約、サプライヤー契約など)の名義変更手続きを行います。
- 必要に応じて、診療所の運営に関する専門家(税理士、弁護士、行政書士)に相談します。
9. 経営の引継ぎ
- 診療所の運営方針や患者情報、スタッフの引継ぎを行います。
- 新しい経営者がスムーズに診療を開始できるように、事前の準備と計画が重要です。
個人の診療所の場合は、手続きが煩雑となることが多いです。
医療法人申請をして「医療法人成り」しておくことで解決がスムーズに進むため、適切なタイミングで医療法人にしておくことが推奨されます。
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