医療法人設立申請するタイミング~税制メリット~

医療法人化による税制上の利点

法人税の適用と所得税との比較

医療法人を設立することで、個人事業主としての所得税から法人税へと税制が変わります。これにはいくつかの利点があります。

  • 所得税の累進課税:個人事業主の場合、所得税は累進課税制度が適用され、所得が増えるほど高い税率が適用されます。最高税率は45%に達することがあります。
  • 法人税の一律課税:一方、法人税は所得金額に関係なく一定の税率が適用されます。法人税率は通常23.2%(2024年時点)であり、高額所得者にとっては法人税の方が税負担が軽減される場合が多いです。
  • 住民税の違い:個人事業主の場合、住民税も所得に応じて高くなりますが、法人税の計算には影響しません。法人の場合、法人住民税は一定の税率で計算されます。

このように、医療法人を設立することで、特に所得が高い場合には税負担を軽減することが可能です。

税制優遇措置(設備投資減税、税額控除など)

医療法人には、さまざまな税制優遇措置が適用されることがあります。

  • 設備投資減税:医療法人が最新の医療機器や設備に投資する場合、その投資額の一部を税額から控除できる制度があります。これにより、設備投資にかかる初期費用の負担が軽減され、最新の医療技術を導入しやすくなります。
  • 税額控除:研究開発費や特定の公益活動に対する支出については、一定の条件を満たすことで税額控除が適用される場合があります。これにより、法人の税負担がさらに軽減されます。
  • 中小企業投資促進税制:中小企業として認定された医療法人は、新規設備投資に対して税額控除や特別償却の対象となることがあります。これにより、設備導入を促進しやすくなります。

これらの税制優遇措置を活用することで、医療法人は経営資源を効率的に活用し、長期的な成長を目指すことができます。

利益の内部留保と将来の投資計画

医療法人は、利益を内部留保することで将来の投資計画を実現するための資金を蓄えることができます。

  • 内部留保の利点:内部留保とは、法人が得た利益を分配せずに留保しておくことを指します。これにより、医療法人は自己資本を増やし、財務基盤を強化することができます。内部留保された資金は、将来的な設備投資や新規事業の立ち上げに活用することができます。
  • 将来の投資計画:医療法人は、長期的な視点で事業計画を立てることが求められます。内部留保された資金を活用して、最新の医療技術の導入や施設の拡充、さらには人材育成に投資することができます。これにより、競争力を維持し、地域社会に対する医療サービスの質を向上させることが可能です。

内部留保と将来の投資計画を効果的に活用することで、医療法人は持続可能な経営を実現し、地域社会に貢献することができます。

以上のように、医療法人を設立することで得られる税制上の利点は多岐にわたります。これらの利点を最大限に活用し、持続可能な経営を目指すことが、医療法人の成功に繋がります。

個人診療所から医療法人にするタイミング

税制面でのメリットを考えると、売上と利益の関係でバランスをとることが大切です。ただ、これ以外にもメリット・デメリットがあります。経営状況を踏まえて適切な計画を立てることで、最大限の経営メリットを目指すことができます。

  • 相続対策:個人診療所のままでは、個人情報などが後継者に引き継げません。医療法人とすることで、役員の変更などで経営資源を引き継ぐことが可能です。
  • 分院展開:個人診療所では、複数の診療所の運営ができません。分院展開をする際には、医療法人としておくことで、クリニック展開が可能です。
    各クリニックには管理者を配置することで、理事長が経営サイドに立つことも診療規模の拡大につながります。
  • 関連事業の展開:医療法人では、介護や福祉など関連事業の展開が可能です。複合的に医療サービスを提供できるため、事業規模の拡大を目指すことができます。

どんな事業展開ができるのかは、医療領域だけではなく様々な要因で決まります。専門のコンサルタントなどに相談することで可能性を探ることができます。

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