診療報酬の“加算”を効率的に取る方法|クリニック売上最大化のための戦略
はじめに|「加算」は利益率の高い売上源
診療報酬の中でも「加算」は、既存の診療行為に対して上乗せされる収益であり、コストを抑えつつ利益率を高められる貴重な仕組みです。
ただし、加算を「取りこぼさない」ためには、戦略的な体制構築と運用フローの整備が不可欠です。
本記事では、医療コンサルタントとしての視点から、売上を最大化するために加算を効率的に取る方法を具体的に解説します。
STEP1:自院の診療体制・設備から「取れる加算」を洗い出す
✅ チェックポイント
- 診療科別の「主な加算」リストを把握する
- 現状の施設基準、職員体制と照合する
- 算定可能な加算の「算定率(実績)」を調査
例:整形外科クリニックの場合
- 初診料加算(機能強化加算、時間外対応加算等)
- リハビリ系加算(理学療法士等体制強化加算、リハビリ提供体制加算)
- 画像診断管理加算
- 外来感染対策向上加算
STEP2:加算取得に必要な「施設基準の届出」と体制整備
✅ 売上アップに直結するポイント
- 届出さえすれば算定可能な加算が多いため、速やかに準備
- 月1回・定額の加算でも、患者数×12ヶ月で見るとインパクト大
- 対応スタッフや委員会の設置だけで取れるものも多い
具体例
加算名 | 必要条件 | 備考 |
---|---|---|
機能強化加算 | 地域連携・紹介体制、医療従事者の配置 | 初診ごとに80点(例) |
明細書発行体制等加算 | 無償で明細書を発行できる体制 | 1回10点でも積み上げが大きい |
外来感染対策向上加算 | 感染対策責任者・マニュアルの整備 | 月1回50点 |
STEP3:算定ルールを現場オペレーションに落とし込む
✅ ここを怠ると「取りこぼし」多数
- 電子カルテのテンプレ設定、チェックボックス運用
- 受付・看護師・リハビリ職の「加算トリガー理解」
- 医師の記載ミス・漏れ防止(テンプレ・チェックリスト活用)
事例:理学療法士等体制強化加算
- 【要件】理学療法士の常勤配置(または週30時間以上の非常勤)
- 【対応】勤務形態・時間管理を厳密に確認し、届出→月1回算定
STEP4:月次モニタリングと「加算率」の定点観測
✅ “加算実施率”=実際に取れているかの管理指標
- 全初診患者数に対する初診料加算の実施率
- リハビリ患者数に対する体制加算の算定率
- 計画的に「未算定理由」を潰していく(例:届出漏れ、カルテ記載不備)
STEP5:加算に紐づく“人材投資”をコストと比較して判断
✅ 「月10万円の加算を得るために月5万円の人材投資」は“あり”か?
- 看護師1名追加で機能強化加算の取得→収益モデル化
- 非常勤理学療法士30時間確保で体制加算→労務調整がカギ
- 収支シミュレーションで「人件費に見合う加算か」判断する
まとめ|「届出・体制構築・算定徹底」が三位一体
加算を「効率的に取る」ためには、以下の3ステップの連動が不可欠です。
- 算定可能な加算の把握と戦略選定
- 届出や人員配置などの体制構築
- 現場での算定徹底とモニタリング
1点10円の世界で、100人×12ヶ月=年間12万円
100点の加算を月500件取れば→年間600万円の売上増になります。
まずは“1つの加算”をしっかり取り切ることが、売上拡大の第一歩です。