M&Aで事業を引き継いだら最初にすること ~事務長の業務編~

クリニックの運営において、事務長の役割は非常に重要です。事務長は、医療スタッフがスムーズに診療業務を行えるよう、クリニック全体の運営を支える存在です。事業承継した場合には、事務長も引き続き勤務する場合があります。

大きな裁量を持っている場合がありますので、まずは、事務長が担当していた業務についてのヒアリングを行うことが大切です。

業務棚卸表などを使って、担当業務の業務内容について把握してみましょう。

※業務棚卸表をご希望の方は、お問合せください

1. クリニック全体の管理運営

1.1 経営管理

クリニックの事務長は、経営管理の中心的な役割を担います。予算の策定、収支の管理、経費削減の提案など、経営の安定化を図るために必要な業務を遂行します。また、月次や年次の経営報告を作成し、経営状況を把握・分析することで、経営戦略の立案に貢献します。

1.2 業務の効率化

クリニック内の業務が効率的に行われるよう、事務長は業務フローの改善やシステムの導入・運用を行います。これには、電子カルテの管理、レセプトの処理、予約システムの運用などが含まれます。事務長の業務改善提案によって、クリニック全体の生産性が向上することが期待されます。

2. 人事・労務管理

2.1 スタッフの採用と育成

事務長はクリニックで働くスタッフの採用、教育、評価を担当します。医師や看護師、受付スタッフなど、クリニックの運営に必要な人材を確保し、適切な人員配置を行います。また、スタッフの能力開発やキャリアパスを考慮した育成計画を策定し、クリニック全体のサービス向上に寄与します。

2.2 労務管理と職場環境の整備

労務管理も事務長の重要な役割です。スタッフの勤務時間やシフトの管理、給与計算、福利厚生の整備など、スタッフが働きやすい環境を整えるための業務を行います。適切な労務管理により、職場の士気を高め、離職率の低減を図ります。

3. 診療報酬請求業務の管理

3.1 レセプト業務の監督

クリニックの収入源である診療報酬の請求業務(レセプト業務)を、事務長が監督します。診療内容を正確に記録し、保険者に対して適切に請求が行われるように管理します。レセプトのエラーや請求漏れを防ぐためのチェック体制を整備し、収入の確保を図ります。

3.2 保険者との対応

診療報酬に関する問い合わせや確認があった場合、保険者との交渉や対応を行います。レセプト内容に関する指摘や請求に関するトラブルが発生した際には、迅速に対応し、クリニックの収入に影響が出ないように努めます。

4. 患者対応とサービス向上

4.1 患者満足度の向上

事務長は、クリニックのサービス向上にも貢献します。患者の声に耳を傾け、改善点を見つけ出し、患者満足度を高めるための施策を講じます。例えば、待ち時間の短縮や診療の流れの改善、患者への情報提供の充実などが考えられます。

4.2 トラブル対応

患者からの苦情やトラブルが発生した際には、事務長がその対応にあたります。適切な対応を行うことで、患者との信頼関係を維持し、クリニックの評判を守ります。また、トラブルが再発しないように原因を分析し、必要な改善策を講じます。

5. 法的・規制遵守

5.1 医療法規の遵守

クリニックの運営には、医療法規や各種規制を遵守することが求められます。事務長は、クリニックがこれらの法令を遵守しているかを監督し、必要に応じて改善措置を講じます。また、定期的な監査や報告が必要な場合には、これらの手続きを正確に行います。

5.2 安全管理

クリニック内の安全管理も事務長の責任範囲です。感染症対策や防災対策、医療廃棄物の適切な処理など、患者やスタッフの安全を守るための体制を整えます。これにより、クリニックの信頼性を高め、安心して診療を受けられる環境を提供します。

まとめ

クリニックの事務長は、経営管理から人事労務、診療報酬請求、患者対応、法的規制の遵守まで、多岐にわたる業務を担当します。その役割は、クリニックの運営を支える重要な柱であり、事務長の働き次第でクリニックの成長や成功が大きく左右されます。クリニックの院長やスタッフと連携しながら、円滑な運営を目指すことが、事務長の使命です。

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HK

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