閉院を考える前に検討すべき！医療法人の売却の方法

2024年8月18日 2024年8月18日

クリニックの閉院を考える前に検討すること

　医療法人の経営者が閉院を考える理由はさまざまですが、事業を完全に終了する前に、医療法人の売却という選択肢を検討することが重要です。売却は、経営資源を最大限に活用し、事業承継をスムーズに進める有効な手段です。本記事では、医療法人を売却する際に検討すべき方法や手順について詳しく解説します。閉院の前に、医療法人の価値を最大限に引き出すための方法を考えてみましょう。

1. 医療法人の売却を検討する理由

1.1 経営者の引退や後継者不在

経営者が引退を考えている場合や後継者がいない場合、事業の継続が難しくなることがあります。医療法人の売却を検討することで、培ってきた医療サービスを引き継ぎ、患者やスタッフにとっても最良の選択となる可能性があります。

1.2 経営環境の変化

医療業界の競争が激化し、経営環境が厳しくなる中で、独自に事業を続けることが困難になることがあります。医療法人の売却により、他の法人や企業に経営を委ねることで、事業の安定性を保ちながら患者へのサービスを継続することができます。

1.3 資金の確保と再投資

医療法人の売却によって得られる資金を、他の事業や投資に再利用することで、新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。これにより、経営者として新しいステージに進むことが可能になります。

2. 医療法人の売却方法の選択肢

2.1 全体売却

医療法人を丸ごと売却する方法です。経営権と資産、スタッフ、診療体制をすべて引き継ぐ形で、買い手が事業を継続します。この方法は、経営者が完全に事業から手を引きたい場合や、後継者がいない場合に適しています。

2.2 部分売却

医療法人の一部、例えば特定の診療科目や部門だけを売却する方法です。これにより、経営者は一部の事業を継続しながら、特定の分野に集中することが可能になります。部分売却は、法人の再編や資金確保を目的とする場合に有効です。

2.3 M&Aによる事業譲渡

M&A（合併・買収）を通じて、他の医療法人や企業に事業を譲渡する方法です。この方法では、買い手が医療法人の経営権を取得し、事業を継続します。M&Aによる事業譲渡は、既存の事業をそのまま引き継ぎたい場合に最適です。

2.4 ジョイントベンチャー（JV）

他の法人や企業と共同で新たな事業体を設立し、医療法人の一部を移行する方法です。これにより、売却後も経営者が関与し続けることが可能です。JVは、経営者が完全に事業から手を引くことなく、リスクを分散させながら事業を発展させたい場合に適しています。

3. 売却のステップと準備

3.1 事前準備と内部評価

売却を決定する前に、医療法人の内部評価を行います。財務状況、診療実績、スタッフのスキル、設備の状態など、売却に影響を与える要素を詳細に分析します。内部評価は、売却価格の設定や買い手の選定において重要な役割を果たします。

3.2 買い手候補のリストアップ

次に、買い手候補をリストアップします。買い手としては、同業他社や医療関連企業、投資家などが考えられます。M&A仲介会社や業界内のネットワークを活用して、信頼できる買い手候補を見つけます。

3.3 交渉とデューデリジェンス

買い手が見つかったら、交渉を開始します。売却価格、引き継ぎ条件、スタッフの処遇、患者への対応など、細部にわたる条件を話し合います。交渉が進む中で、買い手によるデューデリジェンス（詳細調査）が行われ、医療法人の財務状況や法務リスクなどが確認されます。

3.4 契約締結と事業譲渡

交渉がまとまったら、契約を締結します。契約書には、売却価格、支払い条件、引き継ぎプロセス、リスク管理などが明記されます。契約締結後、事業譲渡が正式に行われ、買い手が医療法人の経営権を取得します。

4. 売却後の対応とサポート

4.1 スムーズな引き継ぎのサポート

売却後は、スムーズな引き継ぎをサポートすることが重要です。特に、スタッフや患者に対する対応は慎重に行い、混乱を避けるために適切なコミュニケーションを図ります。引き継ぎ期間中は、経営者としての経験や知識を新たな経営者に伝えることで、事業の安定を確保します。

4.2 売却後の再投資と新たなビジネス展開

売却によって得られた資金を活用し、新たなビジネス展開を考えることも一つの選択肢です。医療分野に限らず、異業種への投資や新規事業の立ち上げなど、新たな挑戦に向けて準備を進めましょう。

まとめ

医療法人の売却は、閉院を検討する前にぜひ考慮すべき選択肢です。事業を続けてきた法人の価値を最大限に引き出し、患者やスタッフにとっても良い結果をもたらすためには、慎重な準備と適切な売却手法の選択が求められます。売却のプロセスを通じて、医療サービスの継続と事業の発展を目指し、次のステージへと進むための道筋を見つけましょう。